こんにちは。
今、日本の高校教育の現場で大きな変化が起きようとしています。それは、「歴史総合」という新たな科目の新設です。
「歴史総合」とは何か。これは簡潔に言うと「日本史」と「世界史」を合体させた歴史の授業と言うことです。
文部科学省は2022年度の新入生から新しい学習指導要領としてこの科目を追加する方針を示しました。それに伴い、今まで学校で教わってきた「日本史」や「世界史」の授業は消滅してしまう恐れがあります。
なぜ「歴史総合」を導入するのか
これまでの高校の学習指導要領では「世界史」が必修科目となっていました。国際化が進む昨今において「世界史」を学ぶ必要性が高まっているためです。
しかしその結果、「日本史」をほとんど学ばない子供たちが現れたため、これは問題だろうということになりました。自分の国の歴史を語れないのは非常識ですからね。
そこで政府は、日本史を学ばない子供たちが現れるのを防ぐために、いっそ「世界史」と「日本史」を融合させてしまおうと結論付けたのです。
「歴史総合」の問題点
しかし、この「歴史総合」にはいくつかの問題点があります。
1つは、範囲が膨大すぎるということです。世界の歴史に加え日本の歴史ともなると、どうしてもその範囲が膨大になってしまいます。今まで「日本史」「世界史」という二教科だったものを一つにするのですから当然ですよね。
そしてもう1つは、誰が教えるのかということです。日本史の教員が世界史を教えるのも、世界史の教員が日本史を教えるのも、どちらもなかなか難しいことです。現場の教師からしたらとんでもない話ですよね。
これらの問題を解決するには、まずは範囲を削るしかありません。今まで教えてきた出来事や単語を大幅にカットする必要があるのです。
池上彰のニュース解説(2018年3月24日放送)では、以下の表の単語が“必ず教えなくてもいいと提案されている歴史用語”として紹介されていました。
日本史を学んできた人にとっては、どれもこれも習った覚えのある単語だと思います。日本史を学ばなかった人も、「大納言」や「坂本龍馬」「新選組」等々、一度は聞いたことのある単語が多く入っていると思います。
「歴史総合」になると、これらの単語は教えられなくなり、日本人の記憶から消滅してしまう恐れがあるのです。
また、この科目を教える教員側は、世界史・日本史両方の知識を求められるので、教員の日本史に対する専門性が低下してしまいます。
つまり、日本の歴史が破壊されてしまう恐れがあるのです!
個人的な意見
そもそも日本史を学ばない人が出てきていること自体が問題なので、僕はその解決策として「日本史」を必須科目にするべきだと考えています。
そもそも、自国の歴史の授業が選択科目扱いになっていることがおかしいと思います。日本人が「日本史」を学ばなければ、一体誰が学ぶのでしょうか。
それに、いくら国際化が進んでいるからといって、全ての日本人が国際舞台で活躍するわけではありません。むしろ、そうでない日本人の方が圧倒的に多いです。そんな現実実態で、本当に全ての日本人が「世界史」の知識を持つ必要があるのでしょうか。
これは少し余談ですが、世界中の国を見渡しても、自国の歴史をわざわざ自分の国の名前を間して呼んでいる国は世界に存在しません。
アメリカの歴史の授業は「America History」ではなく「National History」です。
「国語」を「日本語」とは言いませんよね。ところが歴史となると「日本史」なのです。まるで外国のような扱いで、実に奇妙です。
日本でも、戦前の学校教育ではきちんと「国史」という名称でした。ところがGHQに「日本史」という名称に変えさせられてしまったのです。
GHQはなぜわざわざ「国史」を「日本史」に変更したのか。それは、「日本史」がアメリカから見た「日本の歴史」だからです。
日本の歴史教育では「敗戦」ではなく「終戦」ですよね。まあこの話はまたいつか詳しくしましょう。
個人的には「歴史総合」という授業実施には反対です。日本人が正しい歴史を学ぶ機会が無くなってしまいかねません。
これも、以前別の記事で書いた「今後の人類社会」の序章なのでしょうか。
最後まで見てくれてありがとうございます。