こんにちは。
「山」という漢字がありますよね。読み方はサンです。中国語の「山(Shān)」から来ています。読み方も漢字も、中国由来のものです。
では、日本古来の固有語で「山(サン)」は何と言うでしょうか?
もちろん正解は「やま」です。僕たちは日常的に「やま」という固有語を使っていますよね。しかしそれは、冷静に考えるととっても凄いことなのです!
何が凄いかと言うと、それが現在まで残っているということです。日本の固有語(大和言葉)は文字を持たなかった言語です。そんな文字を持たない言語が、漢字語に押しつぶされることなく現在まで存在しているのです!
こんなミラクル技を、かつての日本人は漢字を逆に利用することで達成したのです。それがいわゆる訓読みなのです。
訓読みの誕生
大昔の日本では、文字というものが発明されていませんでした。けれど、文字が無かったというだけで、言葉は存在していました。「やま」のことを「やま」と呼んでいましたが、それを書き表す手段が無かったのです。
そんな中、中国大陸から「文字」というシステムが伝わってきました。それは、話した内容を記録することができるという画期的なものでした。日本人はこれを素早く吸収していきました。
しかし、あるギャップが生まれます。それは、文字として書くときと、実際に使用するときとの言葉のギャップです。文字として書くときは「山(サン)」という発音ですが、日本人が会話で実際に使っていたのは「やま」という発音です。
この問題の一般的に考えられる解決方法は、日常で「やま」という呼び方をやめて、漢字の「サン」という呼び方に統一することです。「サンへ登ろう」「あのサンはこっちのサンより高い」とするのです。普通に考えれば、こうすることが最も早いです。
しかし、日本人はその選択をしませんでした。逆に、漢字の「山(サン)」の方に固有語の「やま」という発音を埋め込んだのです!
これが、訓読みの誕生です。漢字という全くの外国の文字に、自分たちの固有語の発音を当てはめることで、文字を持たなかった大和言葉が、21世紀となった今でも、日本人の間で話され続けているのです。
漢字の本質について
「Apple」と書いて「りんご」と読ませるなんて、普通しようとは思いませんよね。しかし、古代日本人はそんなことを平然とやってしまったのです。
けれど、それは間違っていることではないと思います。むしろこれは、漢字だからこそできる、漢字の特性を生かした必殺技とも言えます。
具体的に考えていきましょう。例えば「山」という漢字がありますよね。漢字は表意文字です。それ自体に意味があります。
つまり、「山」という漢字(記号)を見てそれが「やま」のことを表している、という共通認識さえあれば、発音自体にはそれほど意味はないのです。
厳密に、中国語の「サン」という発音に従う必要はないのです。
意味の共通認識さえあれば、発音はある程度自由で構わない。つまり、超電磁砲を「レールガン」と読ませたって、何ら問題はないのです。
古代日本人は、この漢字の本質を理解していたのだと思います。
まとめ
漢字の訓読みには、日本人の魂が受け継がれています。このことを知らなかったという人は、是非周りの人にシェアして下さい!
訓読みを大切にしていきましょう。
最後まで見てくれてありがとうございます。