こんにちは。雑記ブログ「人生に地図はない」を運営しているブロガーのYS(ワイエス)です。
皆さんは金新朝(キムシンジョ)という人物をご存知ですか?彼は韓国の牧師ですが、生まれは北朝鮮です。元々は北朝鮮の朝鮮人民軍の兵士でした。彼を語るにはまず青瓦台襲撃未遂事件について話す必要があります。
青瓦台襲撃未遂事件とは、1968年1月21日に発生した北朝鮮兵士と韓国兵士との銃撃戦のことです。北朝鮮の特殊部隊31人が大統領暗殺を目的に韓国へ不法侵入したのです。軍事境界線を越えたところで見つかり、銃撃戦となりました。
両者多数の死者を出し、北朝鮮側は31人中2人が生き延びました。その生き残りの1人こそが金新朝です。
彼は息を潜めて山に潜伏していましたが、韓国側の呼びかけに応じ投降します。そして、警察に連れられ記者会見を行うことになります。北朝鮮から韓国へやってきた目的は一体何なのか。彼が何を喋るのか。韓国中が中継に注目していました。
そして彼はカメラの前で驚くべきことを話しました。
「私たちが南朝鮮(韓国)に来た目的は、朴正煕大統領の首をとることだ」
そう、彼らが韓国にやって来た目的は、大統領の暗殺だったのです。
しかし一点、不思議な点があります。なぜ彼はいともあっさり任務の目的をバラしたのでしょうか?普通スパイだったら、任務の目的は決して明かしません。死ぬ覚悟で来てるくらいです。大統領の暗殺が目的だったなんて口が裂けても言わないはずです。
なぜ彼は、テレビの前でこの計画を暴露したのでしょうか。その答えは、北朝鮮の洗脳教育にあります。北朝鮮では徹底した情報管理がなされていて、韓国についての情報は一切入ってきません。
北朝鮮の国民は、学校での教育で韓国のことを教え込まれます。その内容は現実とは乖離したもので、「南朝鮮人民は、アメリカに搾取されている。全員バラックに住んでいる。」といった具合に、アメリカの支配に苦しんでいる韓国像を作り出します。
そして、大統領の暗殺は、韓国国民を救うためと教え込まれるのです。つまり金新朝は、自分の目的が大統領の暗殺だったことを伝えると、韓国国民は支援してくれると思っていたのです。なので、テレビの前で大胆な計画の暴露をしたのです。
この事件は、朝鮮半島の南北問題がどういうものかを色濃く表していると思います。ちなみに金新朝は現在、洗脳から目を覚まし、韓国で牧師をしています。牧師として脱北者の悩み相談をしているとのことです。
ただ、北朝鮮に残してきた家族は殺害され、本人も北朝鮮から命を狙われている状況です。朝鮮半島が統一される日は来るのでしょうか?
最後まで読んでくれてありがとうございます。