人生に地図はない

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NHKスペシャル 金正恩の野望 【第1集 暴君か戦略家か 禁断の実像】~要約・まとめ~

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こんにちは。

 

NHKスペシャル 金正恩の野望 という番組の第1集【暴君か戦略家か 禁断の実像】の内容をまとました。

 

目次

 

 

金正恩の素顔とは

 

北朝鮮の金正恩政権発足から6年、指導者の素顔は未だに多くの謎に包まれています。はっきりとした年齢すら良くわかっていません。父・正日時代にはほとんど政治の舞台に登場してきませんでいた。では、そのような実績のない若者が、どうやって最高検両者の座を手に入れたのでしょうか。

 

彼の幼少期。閉鎖的な空間で会うのは、限られた幹部のみ。彼らは、幼き金正恩を“大将”と呼んでいました。正恩の叔母は「周りの人間が権力者のように接するのを見て、彼が普通に成長するのは無理だと思った」と語っています。

 

 

韓国政府は金正恩の情報をつかもうと動いていました。彼が狂気に満ちた性格なのか、緻密な計画を練る戦術家なのか。それは韓国の将来に関わる大問題だったからです。

 

 

少年時代、金正恩はパク・ウンといった偽名を名乗り、スイスに留学していました。彼はバスケが好きでしたが、うまく行かないと急に不機嫌になることもあった、と当時のクラスメイトは語ります。負けん気の強さと失敗を繰り返さない周到さが、周囲の人には印象に残っているのです。

 

 

韓国の国家安保戦略研究所は、金正恩が国家を指導していく知的能力を持っているということを明らかにしました。しかし、スイス留学の経験が彼の政治判断にどのような影響を与えたのかは、これまでの調査では明らかになりませんでした。

 

 

 

どうやって権力を手に入れたか

 

北朝鮮の建国の父・金日成は、息子である金正日に20年にわたり政治の経験を積ませ、後継者としての正当性を高めていきました。しかし、金正恩の場合は、父・正日が急死だったため、経験を積むための十分な時間が無かったのです。では、彼はどうやって北朝鮮のすべてを掌握する権力者の座を手にしたのでしょうか。

 

 

かつて朝鮮労働党の幹部で、接見者と呼ばれたエリート・ソン・ミンテ氏(仮名)という人物がいます。彼は2000年代に脱北。それ以来、労働党時代の人脈を介し、最新の情報を収集しながら北朝鮮情勢を分析。2017年に死去しました。

 

 

そんなソン氏が残していた内部情報や機密資料には、北朝鮮の内幕が記されていました。その多くは韓国政府に報告され、対北朝鮮政策の貴重な情報源とされました。

 

 

金正恩氏はどんな戦略で国内を統治しているのか。それを読み解くカギとしてソン氏がまず注目したのは、北朝鮮の経済変化でした。

 

 

『金正恩の弱点は、自らを神格化させる時間と条件があまりに不足していたことだ。祖父・金日成や父・金正日は数十年かけて血統継承の正当性を構築し権力基盤を固めることができた。

そこで金正恩が目を付けたのが、父正日の時代に衰退していた経済の立て直しだ。』

 

(ソン氏のメモより)

 

 

90年代の北朝鮮は、冷戦の終結で社会主義国家からの援助が途絶え、経済が破綻していました。各地には闇市が誕生し、また200万を超える人民が餓死したとされます。

 

 

しかし、金正恩時代になると、経済状況は一変していました。200カ所余りしかなかった市場が400カ所に倍増したのです。経済成長率や食糧生産量も向上していました。

 

 

金正恩が現れてから市場が拡大し、住民の生活が改善されている様子が見られます。金正恩独自の統治戦略が見て取れるのです。また、重要なのは住民たちの中に自生の力を根付かせ、それを強化している点にあります。

 

 

平壌郊外のタクシー運転手は「国からノルマが課せられているが、それを達成すれば、それ以上のもうけは自分たちの利益になる」と語りました。金正恩は、豊かさは与えられるものではなく、自ら勝ち取っていくものだ、すなわち「自強力」として、人民を刺激していたのです。

 

市場では激しい売り込みや値切り交渉が行われていました。まるで資本主義のような競争原理が導入されている実態があったのです。

 

 

自強力とは

 

自強力を生かした統治とはどういったものなのか。その時代を知る韓国在住の脱北者から貴重な証言が得られました。漁師だったその女性は中国の船に魚を売るせどりで稼いでいたと語ります。

 

「金正日の頃は国のシステムがいい加減でした。賄賂が横行していて警察なんかがイチャモンをつけては私たちから沢山お金を取っていきました。金正恩の頃からは賄賂が禁止されました。途中でお金を奪う人を取り締まり、国にもっとお金が入るようにしたのです」

 

また、国に決められた額を納めれば、残りは利益となっていたようです。あれはまるで資本主義のような仕組みだと、この女性は、脱北後に気がついたそうです。

 

 

 人工知能の分析

 

14000に及ぶ言葉を人工知能(AI)で分析し、そこから金正恩の特徴を探っていきました。すると、「同盟」と言う言葉がキーワードに上がりました。そこから何が読み取れるのか。専門家などのチームで分析します。

 

 

詳しく調べていくと、同盟と言う言葉の後には「強める」や「奮い立たせる」など相手を鼓舞する言葉が常に付随する傾向にありました。心理学の専門家である海野素央教授は「これまでの政府による上からの経済の体制ではく、ボトムアップを狙っているかもしれない」としています。

 

 

また、それらの発言が行われた場所なども、現地視察や直接指導が多いといった傾向がありました。金正恩氏は、思想の中身についてでなく、実利的なものを求めているようです。

 

 

韓国元統一相で、半世紀以上にわたり北朝鮮を分析してきたカン・インドク氏はこう語ります。「私は当地の進め方を見て、金正恩は恐ろしい人間だと感じている。スイスに留学していたから“自由主義的傾向”のある人物だと考えがちですが、それはむしろ逆。彼は自由世界の弱点をしっているからこそそれを巧妙に利用する人物なのだ。日本語でいうと“悪賢い”でしょうか。」

 

 

人民をたたえながら統治を進めた金正恩氏。一方で、党や軍に対しては異なる戦略をとっている実態も見えてきました。金正恩氏は、父・正日時代の先軍政治を受け継ぐことなく、その権力を党に移行。さらに、父に使えた功労者たちを次々と粛正するなど、恐怖政治を断行し、自分だけに忠誠を誓う部下で固めました。

 

 

金正恩時代に脱北した幹部の中で最も地位が高い(元駐英公使)とされるテ・ヨンホ氏が内幕を語ります。

「金正恩は、恐怖政治ではなく、恐怖先行統治を実施している。幹部の粛正には、飛行機を撃つための高射砲を使う。普通に撃たれて死ぬのを見るより、死体が消し飛ぶ方が恐怖が桁違いに増える。わずかなレベルのミスでも、そえに見合わない極端な方法で殺す。人間の持つ恐怖の心理を極大化しておく。これが、金正恩の恐怖先行統治だ」

 

 

そうした傾向は、人工知能の分析でも浮かび上がりました。金正恩を特徴づける10の言葉として「イルクン」という言葉が含まれています。これは「幹部」を意味する言葉です。

 

 

「イルクンが自分だけを押し出して、軍人大衆と分離して事業するのは、一番警戒すべき危険要素だ。」現地訪問2012/1/15

 

 

イルクンに関する発言や支持では、そのほとんどが強い嫌悪感と共に語られていました。幹部に関するデータを見ても、頻繁に人事を入れ替えていることが分かりました。突出した力を誰にももたせず、数人の有力者が互いに牽制しあう体制を作り上げているのです。

 

 

イルクンが語る金正恩の政策

 

イルクンに当たる脱北者が見つかりました。2013年に脱北した、元砲兵部隊連隊長イム・カンジン氏です。金正恩時代の監視の実態についてこう語りました。

 

 

「それまで軍では連隊長が何か計画すると師団長さえ承認すれば実行できた。それが金正恩になると、5人で構成される党委員会の承認を受けなければならなくなったのです。もう自由に動けるのは洪水とか火事とかそうした緊急事態のときだけだ。」

 

「例えば副業を持っている運転兵などは非常に警戒されている。去年、命がけでパンムンジョムから脱出したのも運転兵だ。少しでも野心が芽生えていないか、統制からわずかでもはみだしていないか。何重にも徹底的にチェックされる。体制の隅々にまで圧力をかける。それが今の北朝鮮だ。」

 

 

監視の目は、世界54か国に散らばる北朝鮮大使館の職員にも行き届いていました。去年、金正男暗殺事件で世界の注目を集めたマレーシア。大使館の職員たちはメディアに一切の情報を明かしませんでした。

 

 

金正恩はどういう指示を出し、どうやって彼らを統制しているのか。一人の人物が取材に応じました。ベトナムの北朝鮮大使館の元職員で、去年イギリスに亡命を求めたチェ・サンモク氏(仮名)です。金正恩の指示は大使館ごとに異なっていたと語ります。

 

 

「大使館の役割は国によって違います。金正恩は北朝鮮とその国との政治的利害を深く読み解き、トラブルになるとまずい国とそうでない国との役割を周到に分類しています。先進国では難しいマネーロンダリングなどは後進国が最適だとして、実際私がいたとき、ベトナムの大使館はマネーロンダリングの基地となっていました。」

 

 

職員は自由に外出できないため、記念日などに館内でパーティーを開くのが唯一の楽しみだったと言います。しかし、例え砕けた社交の場でも、互いに体制への批判は口にできなかったそうです。

 

「大使館の職員は北朝鮮の外にいても互いの人生に深入りはできません。金正恩が許可していないからです。」

 

大使館の職員は、いわば人質として子供を北朝鮮に残していることがある。職員は常に強制送還の恐怖を感じているという。

 

 

苛酷な仕事に不満を持っていたある日、大使館に発せられた金正恩の指令に戦慄したと明かした。

 

「金正恩の就任後、北朝鮮で大量の幹部が粛清されましが、その直後、全世界の大使館にある指示が下されました。自分の仕事を忠実に進めれば過去のことは問わないというものでした。そして、大陸別に金正恩の刺客が送られ、私達(職員)一人一人の面接が行われました。「もし不満があれば自首しなさい」そうすれば許すというものでした。」

 

 

このとき、少しでも不満を口にすれば無事ではいられない。チェ氏はそう感じたと言います。

 

「普段から、別の大使館で職員が突然消えたなどの怖い噂を耳にしていました。この一件以来、私たちは恐怖で仕事にまい進し始めたのです。」

 

 

競争心や欲望を巧みに操る人民統治と、父を上回る恐怖政治を繰り広げた金正恩氏。北朝鮮から一歩も動かず、6年間着々と進めていたのは、足元の国内支配を確立するという野望への第一歩だったのです。

 

 

金正恩氏はその後どう動くのか。元高官のソン氏は、世界がやがて直面する事態をいち早く予見していました。

 

 

『人民を掌握し党を支配し軍をコントロールする。金正恩の際立った特徴は、思想戦が得意だという事実だ。その戦略はやがて外交に向けられていくだろう。金正恩は戦争をも辞さない狂気を持った人間だと思わせ、海外の国々が恐れたタイミングで、突然180度方向を変えて平和を実現したいと一歩出てきたとしたらどうなるのか。

各国の政治家・ジャーナリスト・専門家、あらゆる人々が対話の餌に飛びつき、金正恩の深淵な戦略の渦に巻き込まれていくだろう』

(ソン氏のメモより)

 

 

国際社会は金正恩氏の戦略の渦に巻き込まれていくのか。そして、対話の先に何が待っているのでしょうか。

 

 

要点まとめ

 

・金正恩は巧みな戦術家で、非常に緻密な計画を立てて物事を実行している。

 

・人民には資本主義の仕組みを導入し鼓舞する一方、幹部に対しては恐怖政治を推し進めている。

 

・国際社会は、金正恩の深淵の罠の中にいる。

 

 

といった点が要点となります。北朝鮮情勢に関しては、この先の展開には一切目が離せませんね。

 

 

最後まで見てくれてありがとうございます。